音・岩・光

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26012016

24日以来、バルトークを聞きながら電車に揺られて出勤している。イザイも良かったし、iPod内の演奏家も良いけれど、実際に体験したあの演奏に勝るものは無いわけで、目を閉じると未だにあのエネルギッシュな演奏と運指・運弓が鮮明に蘇ってくる。

そんな興奮の冷めやらぬこの日、弓さんがお店にやってきた。彼の各弦配置は非常にユニークで、独自の理論に基づいて配置されている。A線は特に、であり、自分はこれを張っている人を今まで見たことが無い。代理店から送られてきた弦が違っていたというアクシデントもあって、残念ながら交換できずじまいだったのは申し訳ないのだが、今回も音に関して様々なことを考えるきっかけを与えてくれた。

色々な話をするうち、彼から駒と駒革についての調整をお願いされる運びとなった。これは滅多に無い機会である。何を支持され何をしたのかは、ここでは控えるけれど、自分でも驚くほどこの短時間で成長し多くを学ぶことが出来た。少しやりすぎてしまいPlayabilityが落ちたが(許容範囲とのこと)、音質は明らかに改善されたのが判る。この結果にはニンマリである。

今まで“教えてもらったこと”がイコールで、“正論・セオリー”となりがちな自分の悪い癖を改めて、疑ってかかる・反証してみることの大切さを(いつもながら)痛感した。実際に試してみないと判らないことは実は多い。そうなってくると、あれもこれもやらなくてはならず、道のりは途方も無く長いのだけれど、彼らの世界を見たいのであれば自分もそのステージに上がるように努力しなければならない。

まず目下の反証チェック項目は、E線と低音の関係性だろうか。今のところ3つほどそれぞれに言い分がある説を有しているので、1つ1つ試して結果を出していく必要があるだろう。弓さんが使用している楽器の指板は、たった数ヶ月の内に4弦全ての音程(ギターで言う1~20フレット)で、指の当たった部分が寸分違わず、しかも全てが均等に波打つように凹んでいる。黒檀がこの短期間でそこまで削られるのだ。これは練習によるものだろうと想像するが、自分も負けないように色々データを収集して良い音を求めていかなくてはならない。

そうしたら、色々意見交換もできるし、もっと有用な情報やアイディアなんかも出てくるのではないだろうか。コミュニケーションと信頼関係が先に来るのか、データ・情報のやりとりがそれを構築するのか、良く判らないけれど、いつでも貪欲に好奇心を持って臨んで行く必要がある。最終的に、楽器版のかかりつけ医者になれたらこんなにも嬉しいことはない。




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この週、箱閉じの終わった自分の楽器がとりあえず完成した。音を出してみたが、微妙な感じだった。原因は判っているので、ここから精度良く改良を進めて行くことにする。まず、駒はデスピオの星なし/42mmなので、ミロスタムのロイヤル/40mmへ交換する。40mmにするのは、この楽器のバスバー・魂柱と駒との関係によるところが大きい。元々乗っていたデスピオの3つ星も40mmになっていた訳で、前に替えてくれた職人は良く判っていたのではないだろうか。今後その辺についてもここで書いてみたい。

駒革も実績のある方法でセットアップする(弓さんありがとう!)。弦は余っていた弦等々を使っているので、バランスも悪ければ音も死んでいたりする(E線なんか0.27mmだし、A線は巻き線がほつれているし)から、弦配置に関しても弓さんと同じセッティングにしてみて、この楽器がどんな音を出してくれるか期待しながら楽しんでいこうと思う。







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by Tashinchu | 2016-01-26 21:00 | Instruments | Comments(0)

24012016

弓新さんのIn Store Concertへ。この日のプログラムは最高だった。バルトークとイザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ(イザイは4番)なのだ。共になかなか生で聴くことは無い作品なので、もう本当に楽しみにしていたし、数日前にはお店にも来てくれて色々興味深い話や演奏を聞かせてくれているのだから、否応なしに期待は高まるのである。しかも今回使う楽器は、先日1年ぶりくらいに会った製作家の作ったものときている。

会場にはご両親やその製作家の彼も来ていたので挨拶をして客席へ。京都行きの手段が変わっていてホッと安心する。以前、うちの店でヴァイオリンを購入してくれた方もいたり、勝手にアットホームな雰囲気を感じてしまった。お店では演奏を何度も聴いているけれど、弓さんの本気の演奏は聴いたことが無かったので、いよいよとなってくると何故だか自分も緊張してきた。






ホールではないので響きがほぼ無い状態だったけれど、素晴らしい演奏を生で体験できたことがまず何より嬉しい。彼の楽器もお店で聴いたときよりも良い音がしていたし、弓さんらしい表現・提示がされていたと思う。あの集中力と音は、まるで違う人の演奏を聴いているかのようだった。アンコールでは他の楽器と弓を使っていたけれど、製作家/国が変わるとここまで音も変わるものなのかという印象を受けたのも収穫だ。果たして自分にその違いを自分の演奏によって検知できるか、練習しなくてはというモチベーションまでもらってしまうコンサートだった。

終了後は、僕が知るいつもの弓さんに戻っていて、製作家やそのお友達とも少し話をして帰宅した。前の更新で所用と書いたが、午前中に端材をたんまりいただいていて、それらはバックパックに詰め込まれたままではあるけれど、いい音のシャワーを浴びて喜んでいるのではないだろうかなどと思えてくる。芸術はビジネスではないことを強く感じた1日だった。


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by Tashinchu | 2016-01-24 15:00 | Live/Concert | Comments(0)

24012016

所用で降り立った西日暮里駅へ戻ると、そこから日暮里駅までをぶらつくことにした。時間はまだたっぷりあるので上野辺りまで歩いていく予定だったが、一駅だけになってしまったのには理由がある。谷根千まで出てしまったわけではなく、年が明けてから読み始めた本「仏教美術入門 一目で見る仏像の生い立ち(佐和流研著)」が非常にタイムリーだったためだ。山手線で一駅分に2時間も費やしてしまうと、次の予定に間に合わなくなってしまうのは当然だろう。


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明王さまにも沢山種類があって、名前はもちろんその始まりや仕事(役割)もそれぞれに違う。判別できるほどにはなってないので、もう一度読み返す必要がありそうだ。六地蔵さまも沢山おられて、なかなか足が進まない。





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更には、富士見坂。案内看板を読んでみると、その昔にはどうやらここから富士山が見えたらしい。すると近所のおじいさんが色々説明までしてくれて「あのビルとあのビルの間辺りに、こんな感じで顔を出してくれていたんだよなぁ~。」なんて、感慨深げに当時を思い出しつつ話してくれるものだから、これまた足が止まってしまうのである。ただ、今では見えない富士を想像しながらみる坂からの景色は、その出会いが無ければただの看板とまりだった訳で、ぶらぶら歩くのもやはり楽しい。


日暮里までようやく出てきて、最後のお寺の参門に残る弾痕を見つける。上野戦争という単語は初めて聞く。京都もそうだが、東京も歴史があって沢山の史跡が残っている。特に山手線の東側は今後たくさん歩いてみたいという思いを一層強くしたこの日だった。
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by Tashinchu | 2016-01-24 13:30 | Sightseeing | Comments(0)

18012016

静岡は雨だった。つくづく暖かい土地だと感じる。中国地方の島根や鳥取で雪が降ると、静岡の方でも降っても良さそうなものだと思うけれど、よくよく日本地図を見返して見ると、山陰は静岡よりも北に位置していることが見てとれる。京都よりも南に位置しているのだ。紀伊半島を除くと、伊豆地方は本州では山口県や広島県の次くらいに南にある場所になる。通りで雪は降らないわけだ。

この日は東京へ帰る日。関東圏では電車などの交通機関に大きな影響が出ていたので少し心配したけれど、JR東海の静岡エリアは全くといって良いほどで(遅延はあったけれど問題ないレベル)、気温もそうだが色んな意味で都心との温度差を感じた。静岡駅からは高速バスで東京入りを目指すことになっていて、乗車後に「御殿場周辺の降雪地帯を抜けるのに3時間ほど掛かる」との車内放送を聞いたけれど、新宿にはほぼ定刻通りに到着して、何だったんだろうという感じだった。流石に御殿場周辺は雪景色で、足柄SAは写真のような状況だったけれど、チェーン規制があるわけでもなく、終始暖房のきいた車内でのんびり過ごしていたら到着してしまった。

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by Tashinchu | 2016-01-18 14:00 | MISC. | Comments(0)

17012016

年末に帰省した時に「春になったら桜を見に行こう」と話したのが最後だった。あの時は普通だったけれど、2年前の夏祭りのときに撮った写真を渡したときの感じが、嬉しそうに懐かしむというよりは少し淋しそうに見えたのが、今となっては何か思うところがあったんじゃないだろうかとか考えてしまう。

祖母は東京の葛飾の生まれ。古い写真を見せてもらったけれど、大正の時代に灯篭のある庭を持った家だったことが判る。背景の無い人物写真じゃなくて、風景写真があるということはカメラを持っていたか、写真師を呼ぶことができたってことになりそうだ。とにかく、根には江戸っ子の血が流れていて、東京女子師範学校(現お茶の水女子大)にも通う才女だった。当時は尋常小学校までがほとんどで(と記憶している)、中高等を出るだけでも大変だったのに、師範学校を出ているのだから相当の家だったか勉学に燃える女子だったんだろう。確かに、御見舞いに来ているときはいつも本や新聞を読んでいたし、慰問でヴァイオリンを弾いたときにも、もの珍しいものを見たというよりは普通な反応(目は輝いていたけど)だったことも、そう考えると納得できる。

既に物忘れは進んでいたけれど、いつも僕の顔と名前は一致していたし話の核となる部分はいつもブレていなかったのは、そんなところもあるように思えてくる。祖母の哲学は僕が幼い頃からずっと変わっていなかった。こういう格好いい親になりたいし、祖父になっていきたいものである。この年になってくると、自分は両親に似ているなと思う部分もそうだが、にも増して祖父母の血が入っていることを意識しだす。孫にそう意識してもらえる祖父さんに自分はなれるだろうか。まだまだ先のことだけれど、日々の積み重ねをもくもくと、そしてまずは両親にその機会をつくることも考えなくては、と強く思うようになる。




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by Tashinchu | 2016-01-17 09:30 | MISC. | Comments(0)

16012016

母方の従兄弟ちがいが東京にやってきた。ピアノコンクールの予選を勝ち抜き、原宿で開かれる本選に見事出場。正月には会っているので久しぶりな感じはしないが、帰省先と都会で会うのは彼の印象が違って見えた。緊張からなのか朝早くに出てきたので寝不足なのか、本選用の衣装を駐車場に忘れてくるアクシデントがあったけれど、その駐車場に向かう道すがら色々話をして、見る見るうちに緊張が解けていくのが判ったのは嬉しい。本当は応援も兼ねて演奏を見る予定だったが、諸事情により急遽帰省しなければならなくなったので、会場へ戻って「今日は見られないけど、本選受賞者のエキシビジョンが2月にあるからそれを楽しみにしている。」と声を掛けて品川駅へと向かった。あの感じなら大丈夫だろう。


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静岡にこの時間に戻ってきているのに空はまだ青く、陽が随分と長くなったものだと、同じ日の空をカメラにおさめる。先に帰っているMisao家と合流し、人間の記憶はいい加減なことを笑いながら準備を進め親戚一同の待つ実家へ。祖母の通夜に集まったNakao家の面々は懐かしさと新しさに満ちていた。父方の従姉妹ちがいに初めて会ってみたり、小学生依頼会っていなかった従兄弟が(当たり前だが)成人していたり、従姉妹がMisaoの部活の先輩だったことが判明したり。生きていると沢山の家と血に出会う。この日は1日の内に、多くのつながりがある家と時間を共にしたが、ぞれぞれにそれぞれの場所で生きているのを感じた1日だった。祖母もきっとこのつながりを見られて安心していることだろう。本選第1位という結果がガラケーに入電した。



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by Tashinchu | 2016-01-16 12:30 | Live/Concert | Comments(0)

14012016

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by Tashinchu | 2016-01-14 18:00 | Photograph | Comments(0)

09012016

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Ranchで良く食べていたタコスはLorneの大好物でもあった。本来はU字型に曲がったタコスに具材を盛っていただくけれど、これが一番バランスも良くテーブルも汚れない。

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by Tashinchu | 2016-01-09 19:30 | Foods | Comments(0)

09012016

仕事後、1年ぶりくらいに、あるヴァイオリン製作家と楽器や業界について語った。つい先日に出来上がったばかりの楽器を弾かせてもらったけれど、去年弾いたものとは全く違う音が出ていた。そして、自分の中でよくよく感じている、新作と呼ばれる楽器とは一風変わった音というのも新鮮で興味を魅かれた。彼の制作方法はアプローチが違うので、そういう結果になってくるのではないだろうか。その辺りからヨーロッパの楽器の歴史までひっくるめて、たくさんの貴重な情報を得ることが出来た。

彼は今回、ドイツのオールドヴァイオリンを持参していて、これが先日習った鳴らす方法からくる「鳴る音」が随所に出ている個体で、“なるほどなるほど、これはこれでそうなっているのか”というようなデータを集めることが出来た。また調整方法のTipsも色々と教えてもらったので、自分の楽器やその他の場面でも検証して行こうと思う。まずはその検証に耐えうるだけの精度まで、自分の技術を上げないと元も子もないのだけれど、この辺りはいわゆる理科関連の研究に似ているなと感じる部分で、機器の精度が上がると自ずと研究成果も上がっていくのと同じなのだから腕は鳴る。

彼と食事をしながら更に話を進めると、故郷が同じというところに行き当たった。これはまた偶然であり、同郷の何ちゃらではないけれど、自信がつくものである。今回もたくさんの嬉しいことといい意味で嬉しくないことを知れた夜だった。パズルのピースがはまると周辺が見えてくるのと同時に、全体像が如何に大きく完成に困難をともなうものなのかが見えてくる、そんな感じである。

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by Tashinchu | 2016-01-09 18:00 | Instruments | Comments(0)

06012016

バスバーの端が浮いているので、汚れを落とした後にニカワで再接着を行なう。バスバーについて今までで学び体験した経験則からすると、この楽器のそれはか細く高さの無いもので、理論上マイナス方向に音へ影響する。しかし音は良いという不思議である。ということで、交換は行なわずにそのまま箱閉じを進めていく予定だ。

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箱閉じの前にもうひとつ行なわなければならないこと、それはライニングの再接着。オリジナルを元の位置に戻すのだが、横板にパッチを貼っているので形が変わっており、若干の調整が必要だったが問題なく上下ライニングを一気に貼ることができた。魂柱パッチが必要かとも思われたが、診断とFifith-opinionまでの意見を総合した結果、今回に関しては接着面の修復・調整と補強で済ませることとした。結局のところ、裏板も剥がしてボタンの修復も行なわなければならないし、やらなければいけないことは山ほどあるので今後不具合が出てきたら、その時には遂にはという感じだろう。


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by Tashinchu | 2016-01-06 21:00 | Music | Comments(0)