2014年 12月 05日
05122014 |
市立図書館の図書カードを作った。理由は簡単、買うより借りればいいじゃないか、である。読みたい本が元々あったのでBOOKOFFやAmazonで古本を探していたのだけれど、それを脇で見ていたミサオが「だったら図書館で借りればいいじゃん」の一言であった。住んでいるところから市立図書館へは自転車で5分も掛からない。更に、小平市の図書カードで隣接する市(東村山市、西東京市、清瀬市、東久留米市、国分寺市)の図書も借りることが出来るのだ。もう探せない本は無いんじゃないかと思うようなサービスである。ちなみに前の記事のはやぶさ2関連の本も図書館で借りてきたのだが、発売から僅かの時間で所蔵になっている辺り、都市部の図書館はビックリするほどスピーディで驚く。
弓と禅
学生の頃は弓道をやっていたことが影響して、久々に弓道関係の本は無いものかと探していたら、この本というか人物に出会った。オイゲン・ヘリゲルである。彼はドイツ出身の哲学者で、東洋思想の真髄を得るために大正時代の日本へやってきていた。もちろん主たる目的(建前だったか?)は日本の大学の講師として勤めることで、その傍らで弓道にのめりこんでいったというのが正解かも知れないが、その熱意と努力が両書から伝わってくる。
ヘリゲル氏は理論的な説明がしづらい東洋の世界観(悟りなど)を、弓道を通して自身の中に落とし込むことで解釈しようと勤め、結局それに成功したことがこの本から伺える。論理的で科学的な側面からの理解を善とする西洋的精神に育った彼が、非合理的で直感的な東洋の志向と実践を、思弁的に捉えようとする道をとらなかったことに最初は驚いたけれど、本文を読んでいるとドイツ人特有(と思うのは自分のイメイジなんだろうが)の、徹底的な探究心が彼を突き動かしていたのではないかと思うに至った。しかも、その過程について冷静に分析しながら、彼なりの仮説や実践を重ねて終には奥義に到達する過程を詳細に、そして言葉にするのに難儀するであろう脳内での理解過程といった、微妙な表現説明も明確にまとめられているところに凄さを感じられずにはいられない。文章構成力は哲学者であった彼の得意とするところであろうが、よくぞまぁ文章に仕立ててくれたと感謝したいほどである。
弓道についての内容ではあるものの、奥義体得までのプロセスはビジネス書の側面も持ち合わせているし、彼自身の伝記というか一種の物語小説としても楽しめるものとなっているので、弓道に興味がない人でも読み進められるのも素晴らしい。目的達成へのプロセスを如何に情熱的に持続させていくかについてのヒントをもらったようで、今後の自身の生活に取り入れていかない手は無いと感じた。
時期としてはブルーノ・タウトと同じ世代ということになる。このころの日本は江戸時代の空気をまだ残していたのだろうか ―いつの時代も過去に対する距離感なしには語れないのだろう― 維新直後の日本人が置き去りにしたものを、西洋出身の両人によってその価値を認識させられているあたり、今の日本にも大いに当てはまっている点は奇妙であり残念でもあるが、非常に良い本に出会えたことに感謝したい。
学生の頃は弓道をやっていたことが影響して、久々に弓道関係の本は無いものかと探していたら、この本というか人物に出会った。オイゲン・ヘリゲルである。彼はドイツ出身の哲学者で、東洋思想の真髄を得るために大正時代の日本へやってきていた。もちろん主たる目的(建前だったか?)は日本の大学の講師として勤めることで、その傍らで弓道にのめりこんでいったというのが正解かも知れないが、その熱意と努力が両書から伝わってくる。
ヘリゲル氏は理論的な説明がしづらい東洋の世界観(悟りなど)を、弓道を通して自身の中に落とし込むことで解釈しようと勤め、結局それに成功したことがこの本から伺える。論理的で科学的な側面からの理解を善とする西洋的精神に育った彼が、非合理的で直感的な東洋の志向と実践を、思弁的に捉えようとする道をとらなかったことに最初は驚いたけれど、本文を読んでいるとドイツ人特有(と思うのは自分のイメイジなんだろうが)の、徹底的な探究心が彼を突き動かしていたのではないかと思うに至った。しかも、その過程について冷静に分析しながら、彼なりの仮説や実践を重ねて終には奥義に到達する過程を詳細に、そして言葉にするのに難儀するであろう脳内での理解過程といった、微妙な表現説明も明確にまとめられているところに凄さを感じられずにはいられない。文章構成力は哲学者であった彼の得意とするところであろうが、よくぞまぁ文章に仕立ててくれたと感謝したいほどである。
弓道についての内容ではあるものの、奥義体得までのプロセスはビジネス書の側面も持ち合わせているし、彼自身の伝記というか一種の物語小説としても楽しめるものとなっているので、弓道に興味がない人でも読み進められるのも素晴らしい。目的達成へのプロセスを如何に情熱的に持続させていくかについてのヒントをもらったようで、今後の自身の生活に取り入れていかない手は無いと感じた。
時期としてはブルーノ・タウトと同じ世代ということになる。このころの日本は江戸時代の空気をまだ残していたのだろうか ―いつの時代も過去に対する距離感なしには語れないのだろう― 維新直後の日本人が置き去りにしたものを、西洋出身の両人によってその価値を認識させられているあたり、今の日本にも大いに当てはまっている点は奇妙であり残念でもあるが、非常に良い本に出会えたことに感謝したい。
by Tashinchu
| 2014-12-05 17:00
| Books